豆腐を作るときに生まれる副産物、おから。「なんとなく地味」「使い道がよくわからない」と、スーパーの棚で素通りしていませんか?
かといって卯の花の煮物ばかりでは飽きてくる。もっと気軽に、野菜と一緒にたっぷり食べられたらいいのに——そんなふうに思いながら、ずっとおからを持て余していました。
そこで出会ったのが「おからのポトフ」です。おからパウダーを野菜と一緒に煮込むだけで、パン粉のようにスープを吸い込んだおからがほっくり柔らかく、体の芯から温まる一椀が完成します。
山形の豆腐文化と節約の知恵が詰まったおから。捨てるのがもったいない栄養の塊を、今日から食卓の主役に変えてみませんか。

荒生沙緒利
SAORI ARAO
- 山形県アンバサダー@東北観光推進機構 東北PR局
- フリーアナウンサー
- 山形県酒田市在住

おからのポトフとは|豆腐文化が育んだ東北の節約食材をたっぷり味わう
私が暮らす山形県酒田市には、昔から豆腐にまつわる食文化が根づいています。寒い冬に豆腐をそのまま外に吊るして凍らせた「凍み豆腐(しみとうふ)」や、豆腐を大きく切って出汁で炊いた豆腐料理は、この地域の家庭料理の定番です。
そんな豆腐づくりの過程で必ず生まれるのが、おからです。大豆を水に浸してすりつぶし、豆乳を絞り出した後に残る白い搾りかす——かつての東北の家庭では、これを決して捨てませんでした。「もったいない」の精神で食べ切る暮らしの知恵が、おからを食卓に定着させてきたのです。
一般的なおから料理といえば「卯の花の煮物」が思い浮かびますが、おからの使い道はそれだけではありません。今回ご紹介するポトフは、西洋料理のシンプルさと、おからのほっくりした食感を組み合わせた、意外性とおいしさが共存する一皿です。
おからがスープを生まれ変わらせる
このレシピの主役は「おからパウダー」。生おからの水分を飛ばして粉状にしたもので、炒る手間なくそのまま使えます。スープに入れると、パン粉のように旨味を含んだスープをどんどん吸い込み、ほっくりとした独特の食感に変わります。
野菜から出る甘みと、おからがまるごと受け止めたスープの旨味。食べてみると「こんな食べ方があったんだ」と驚くはずです。洋風のポトフにすることで、おからが主張しすぎず、野菜の脇役に徹しながらも存在感を放ちます。
材料(2人分)|調理時間35分
| 材料 | 分量 |
| おからパウダー | 大さじ2(2人分換算) |
| にんじん | 1/2本 |
| たまねぎ | 1/2個 |
| じゃがいも(中) | 1個 |
| オリーブオイル | 少々 |
| ハーブソルト(クレイジーソルト等) | 少々 |
| 塩・こしょう | 少々 |
| 水 | 約300cc(ひたひた量) |
野菜は冷蔵庫で余りがちなにんじん・たまねぎ・じゃがいもの3種類だけ。特別な食材を買いに行く必要がありません。おからパウダーは常温で日持ちするので、買い置きしておけばいつでも作れます(生おからを炒って使ってもOKです)。
作り方|切って煮るだけの2ステップで完成
STEP1|野菜を食べやすい大きさに切る

にんじんは厚さ1cmほどの輪切り(または半月切り)、たまねぎはくし切りか大きめのざく切り、じゃがいもは皮をむいて4等分程度に切ります。
ポトフは「大きめに切った野菜を煮る」のが醍醐味。小さく切りすぎると煮崩れてしまうので、ひと口より少し大きいくらいでざっくりと切るのがコツです。厚めに切ったほうが野菜の甘みがじっくり出て、スープが豊かになります。
STEP2|鍋にオリーブオイルと野菜・おからパウダーを入れる

鍋にオリーブオイルを少々ひき、切った野菜とおからパウダーを入れて、全体に行き渡るようにひと混ぜします。おからパウダーなら炒る手間がいらず、袋から出してそのまま使えるのが嬉しいところです。
パウダーが野菜の表面に薄くまとわりつくことで、煮込んだときにスープの旨味を逃さずキャッチしてくれます。ここでしっかり混ぜておくのが、仕上がりを左右する小さなコツです。
STEP3|ハーブソルトで味付けし、ひたひたの水で15分煮込む

ハーブソルトを全体に振り入れ、野菜がひたひたになるくらいまで水(約300cc)を注いで中火にかけます。おからがスープを吸うので、水は入れすぎないのがポイントです。
中火で15分ほど煮ていると、キッチンにハーブと野菜の甘い香りが漂ってきます。じゃがいもに竹串がすっと通るようになれば、野菜に火が入ったサイン。最後に塩・こしょうで味を整えたら完成です。
STEP4|器に盛って完成
器に盛りつけると、おからが野菜とスープにまとわりついてとろみのような温かさを演出します。見た目は素朴ですが、食べてみるとおからがスープをしっかり抱き込んでいて、最初の一口から「じんわり美味しい」と感じられるはずです。
彩りが欲しいときはパセリを散らしたり、ブロッコリーを加えてから煮込んでも。シンプルな見た目だからこそ、自分流のアレンジが楽しい一皿です。
美味しく作るコツ|おからをふっくら仕上げる3つのポイント
- おからパウダーを使えば手間なし&失敗なし
生おからを使う場合は15分ほど炒って水分を飛ばす必要がありますが、おからパウダーならそのまま鍋へ。スープを吸ってほっくり仕上がります。 - 野菜は大きめに切る
小さく切ると煮崩れてスープが濁ります。ざっくり大きめに切ることで、野菜の甘みがじっくり出て、スープが格段においしくなります。 - 水は「ひたひた」が基準。少なめから始める
おからがスープを吸うため、最初から水を入れすぎると薄くなります。まず少量の水で野菜をひと混ぜし、足りなければ追加する要領で調整してください。
おからが体にうれしい理由|食物繊維と植物性タンパク質の宝庫
大豆の栄養がぎっしり詰まった「豆腐のおまけ」ではない
おからは豆腐を作る過程で出る副産物ですが、「栄養のかす」ではありません。大豆の食物繊維とたんぱく質の多くが、おからの側に残ります。低カロリーでありながら栄養密度が高く、「畑の肉」と呼ばれる大豆の恩恵をたっぷり受けられる食材です。
- 食物繊維が豊富でお腹の調子を整える
おからの食物繊維量は、ごぼうと並ぶほど。腸内環境を整え、食後の血糖値の急上昇を穏やかにする効果も期待できます。 - 植物性タンパク質で筋肉と肌を守る
肉や魚が少ない日でも、おからで植物性タンパク質を補えます。ダイエット中にたんぱく質が不足しがちな方にも頼りになります。 - 低カロリー・低脂質で罪悪感なし
野菜と一緒にスープで食べると満腹感があるのに、カロリーは控えめ。夜ごはんの一品として罪悪感なく食べられます。
野菜と合わせることでビタミンも一緒に摂れる
このポトフに使うにんじん・たまねぎ・じゃがいもにも、それぞれ体を支える栄養が含まれています。にんじんのβカロテン、たまねぎの硫化アリル(血流を促す成分)、じゃがいものビタミンCは、加熱しても比較的損なわれにくい特徴があります。
おから単体では物足りなくても、野菜と一緒に煮込むことで栄養バランスが整います。一皿で「野菜もたんぱく質も食物繊維も」カバーできるのが、このポトフの大きな魅力です。「今日は野菜が足りないな」と感じる日こそ、ぜひ作ってみてください。
\国産大豆100%の超微粉おからパウダー/
アレンジ|おからポトフをもっと楽しむ3パターン
- ウインナーやベーコンを加えてボリュームアップ
野菜と一緒にウインナーやベーコンを入れて煮込むと、肉の旨味がスープに溶け出し、食べ応えが増します。お肉が入るだけで夕食のメインにも格上げできます。 - コンソメを加えて洋食感をアップ
水にコンソメを1個溶かして煮込むと、よりしっかりした洋風の味わいに。パンを添えてスープランチにしても良く、おからがパン代わりに腹持ちよくなります。 - 豆乳仕立てでまろやかクリームポトフ
煮上がったあとに豆乳を加えて温めると、クリームシチューのようなまろやかさに。おからと豆乳で「大豆づくし」の一椀は、豆腐の産地・山形らしい組み合わせです。
残ったポトフは翌日になるとおからがさらにスープを吸い込んでいっそうおいしくなります。作り置きにもぴったりです。
おからを使った料理をもっと知りたい方、野菜たっぷりの体にやさしい一品をお探しの方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
関連記事
>【みそ野菜煮込み】寒い日に体を温める、だし&みそのほっくり一皿
>【野菜たっぷりの鶏つみれ汁】野菜の甘みがじんわり、お椀いっぱいの満足汁
>【鯖缶と白菜のポン酢炒め】缶詰×旬野菜で10分!さっぱり食べられる節約おかず
まとめ|おからをポトフにするだけで、食卓がぐっと豊かになる
生おからを炒ってサラサラにし、野菜と一緒に煮込むだけの「おからのポトフ」をご紹介しました。
- 炒りおからがスープを吸ってほっくり柔らか、食べ応え十分
- にんじん・たまねぎ・じゃがいもの3種野菜で、栄養バランスが整う
- 食物繊維・植物性タンパク質が豊富で体にやさしく、低カロリー
- 調理は「炒る→煮る」だけ。特別な調味料も不要
- 豆乳・コンソメ・お肉など、アレンジの幅が広い
山形の豆腐文化が育んだおからは、「もったいない」の精神から生まれた食材です。豆腐を作るたびに生まれるその白い塊に、先人たちはずっと知恵を絞って向き合ってきました。
おからをポトフにする——たったそれだけのことで、地味だと思っていた食材が体を温める滋養の一椀に変わります。スーパーで見かけたときは、ぜひ手に取ってみてください。

