寒い季節になると、温かい煮物が食べたくなります。でも、「煮物って時間がかかるし、味付けが難しそう…」と思って、なかなか手が出せないという方も多いのではないでしょうか。
市販の惣菜や外食で済ませる日が続くと、ふと「ちゃんとした家のごはんを食べたい」という気持ちになることがあります。体がほっとするような、優しい味の煮物を、自分で作れたら嬉しいですよね。
そんな方にこそ試してほしいのが、今回ご紹介する「里芋のほんのり甘辛煮」です。豚バラ肉と里芋を一緒に煮るだけで、甘辛くこってりした味が里芋にしっかり染み込み、ごはんが止まらなくなる一品が完成します。

荒生沙緒利
SAORI ARAO
- 山形県アンバサダー@東北観光推進機構 東北PR局
- フリーアナウンサー
- 山形県酒田市在住

里芋のほんのり甘辛煮とは|山形・東北に息づく里芋の煮物文化
里芋は、東北各地の秋冬の食卓に欠かせない食材です。私が暮らす山形県では、農家の庭先や畑でよく栽培されており、秋になると産直市場や地元のスーパーにどっさりと並びます。
東北の里芋といえば、まず思い浮かぶのが宮城・山形の郷土料理「芋煮」です。里芋を里で食べる秋の風物詩として、河原に集まって大鍋で芋煮をする「芋煮会」は、東北人にとって青春の記憶でもあります。山形では醤油ベースに牛肉と里芋を合わせるのが定番ですが、宮城では味噌ベースで豚肉と組み合わせることが多く、県境を越えるだけで味も変わるのが面白いところです。
そんな里芋を、今回は豚バラ肉・小松菜と一緒にこってり甘辛く煮るレシピでご紹介します。オイスターソースにんにく・しょうがを隠し味に使うことで、ほんのり中華風のコクが加わり、お惣菜の煮物よりもパンチのある味わいに仕上がります。ごはんのおかずとして、お酒のつまみとしても、どちらにもよく合う一品です。
里芋の「ぬめり」が旨味の鍵
里芋の特徴といえば、独特のぬめりです。このぬめりの正体は「ガラクタン」や「ムチン」と呼ばれる食物繊維の一種。水溶性のため煮汁に溶け出し、煮物全体にとろりとした自然なとろみをつけてくれます。
このとろみが、甘辛いたれと里芋の間に入り込み、味がしっかり絡む仕上がりを作り出してくれます。片栗粉などでとろみをつけなくても、里芋自身がとろみを出してくれるので、煮物が初めての方にも失敗しにくいのが嬉しいポイントです。
材料(2人分)|調理時間20分
| 材料 | 分量 |
| 豚バラ薄切り肉 | 150g |
| 里芋 | 200g |
| 小松菜 | 2株 |
| 水 | 1カップ(200ml) |
| しょうゆ | 大さじ1 |
| 酒 | 大さじ1/2 |
| 砂糖 | 大さじ1/2 |
| みりん | 大さじ1/2 |
| オイスターソース | 大さじ1/2 |
| 和風だしの素 | 小さじ1 |
| にんにく(チューブ) | 1〜2cm |
| しょうが(チューブ) | 1〜2cm |
材料は全部で12品目ですが、調味料のほとんどは普段から常備しているものばかりです。オイスターソースさえあれば、あとは醤油・みりん・砂糖・酒の基本調味料で揃います。にんにく・しょうがはチューブ使用でOKなので、包丁を使う手間もありません。
作り方|レンジ下ゆで+鍋で10分煮るだけ
STEP1|里芋をレンジで下ゆでする

大きい里芋は半分に切り、耐熱ボウルに入れてふんわりとラップをかけます。電子レンジ600Wで約3分加熱してください。鍋でお湯を沸かす必要がなく、このひと工夫だけで下処理の時間を大幅に短縮できます。
加熱後は熱いうちに皮をむきます。火傷に注意しながら、皮がすっとむけるうちに作業しましょう。皮がむけたら、一口サイズの乱切りにしておきます。
STEP2|小松菜をざく切りにする
小松菜は根元を落とし、3〜4cmのざく切りにします。茎と葉を分けておく必要はありません。小松菜はあとから加えるので、このタイミングで切っておくだけでOKです。
小松菜がない場合は、ほうれん草や白菜の葉の部分でも代用できます。青みのある野菜を入れることで、甘辛い煮物に彩りが加わり、見た目もきれいに仕上がります。
STEP3|鍋に調味料・豚バラ・里芋を入れて煮る

鍋に水・しょうゆ・酒・砂糖・みりん・オイスターソース・だしの素・にんにく・しょうがをすべて入れます。そこに豚バラ薄切り肉と下ゆでした里芋を加え、強めの中火で加熱します。
沸騰してきたら落し蓋をして、中火で10分煮ます。落し蓋をすることで、煮汁が対流して里芋の全体にしっかり味が染み込みます。アルミホイルを丸めて鍋の大きさに合わせて切ったもので代用しても大丈夫です。
STEP4|小松菜を加えてさらに2〜3分煮る

里芋に竹串がすっと通るくらい柔らかくなったら、小松菜を加えます。再び落し蓋をして、中火で2〜3分煮ます。小松菜はさっと火が通れば十分なので、長く煮すぎると色が悪くなります。鮮やかな緑色が残っているくらいで火を止めるのがベストです。
STEP5|器に盛り付けて完成

器に里芋・豚バラ・小松菜を盛り付け、鍋に残った煮汁を少しかけて完成です。甘辛くとろりとした煮汁が食材に絡んで、食欲をそそる見た目に仕上がります。里芋のほっくりした食感と豚バラの旨味が口の中でとけ合い、一口食べると思わずほっとするような温かさです。
美味しく作るコツ|里芋煮物を失敗しない3つのポイント
- 里芋のレンジ下ゆでは「熱いうちに皮をむく」
冷めてしまうと皮がはがれにくくなります。加熱後はすぐに作業できるよう、キッチングローブや布巾を使いながら素早く皮をむきましょう。 - 落し蓋を忘れずに
落し蓋がないと煮汁の量が少ない場合に里芋が均一に煮えません。アルミホイルで簡単に代用できるので、ぜひ使ってください。煮汁の対流がうまくいくと、少ない煮汁でもしっかり味が染み込みます。 - 小松菜は最後に加えて煮すぎない
小松菜を最初から入れてしまうと、くたくたになって色も悪くなります。里芋に火が通ってから加え、鮮やかな緑色をキープすることで、見た目も栄養価も損ないません。
里芋が体にうれしい理由|秋冬に積極的に食べたい栄養素
里芋は低カロリーで食物繊維が豊富
里芋は芋類の中でもカロリーが低く、食物繊維が豊富な食材です。同じ芋類のじゃがいもやさつまいもと比べると、カロリーは半分以下。ほっくりした食感と自然なとろみがあるので満足感は高いのに、体への負担が少ないのが特徴です。
- 食物繊維(ガラクタン・ムチン)
里芋のぬめりの成分。腸内環境を整え、血糖値の急上昇を抑える働きがあります。煮物にすると煮汁にとろみが出るのも、この成分のおかげです。 - カリウム
体内の余分なナトリウムを排出する働きがあり、塩分の摂り過ぎが気になる方にもおすすめ。東北の冬は塩分が多めの食事になりがちなので、里芋で上手にバランスを取りましょう。 - ビタミンB群
エネルギー代謝を助ける栄養素。冷え込む季節に体を温めるためにも、しっかり摂っておきたい栄養です。
小松菜のカルシウム+豚バラのビタミンB1で栄養バランス◎
このレシピの嬉しいところは、里芋だけでなく小松菜と豚バラ肉も一緒に摂れること。小松菜は野菜の中でも特にカルシウムが豊富で、骨や歯の健康をサポートしてくれます。豚バラ肉には疲労回復に役立つビタミンB1が含まれており、寒い季節の体力維持にも心強い食材です。
「野菜・肉・根菜がひとつの鍋に入っている」という時短煮物でありながら、栄養バランスがしっかり整っているのが、この一品の魅力です。
\貝柱の旨味たっぷり本格オイスターソース/
アレンジ|味変・食材替えで飽きずに楽しむ3パターン
- 鶏もも肉に替えてあっさり仕上げ
豚バラを鶏もも肉(皮なし)に変えると、脂が少なくよりさっぱりした口当たりに。ダイエット中や脂っこいものを控えたいときにおすすめです。鶏肉は一口大に切り、同じ手順で煮るだけでOK。 - こんにゃくを加えてボリュームアップ
里芋と一緒にこんにゃく(アク抜き済み)を加えると、食べ応えが増してメインのおかずになります。こんにゃくは里芋と同じタイミングで鍋に入れるだけ。低カロリーで食物繊維もプラスされます。 - 豆腐を添えて定食風に
器に盛り付けるとき、崩した豆腐を横に添えると定食のような見た目に。里芋の甘辛い煮汁が豆腐にしみて、これだけで献立が完成します。冷奴よりも汁気のある温豆腐にすると、体がほっと温まります。
里芋が余ったときは、翌日にご飯と一緒に混ぜてリゾット風にしても美味しいです。甘辛い煮汁がご飯に絡んで、お茶漬け感覚でするっと食べられます。
秋冬の体が喜ぶ根菜・豆・豚肉の煮物は、こちらもどうぞ。
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まとめ|里芋のほんのり甘辛煮は、東北の秋冬ごはんの定番になる一品
豚バラ肉と里芋を甘辛く煮込んだ「里芋のほんのり甘辛煮」をご紹介しました。
- 調理時間20分、レンジ下ゆで+鍋で煮るだけの手軽さ
- オイスターソース・にんにく・しょうがのコクで、ごはんが止まらない甘辛味
- 里芋のとろみが自然にたれに絡み、初めての煮物でも失敗しにくい
- 里芋の食物繊維・カリウム+小松菜のカルシウム+豚バラのビタミンB1で栄養バランス◎
- 鶏肉・こんにゃく・豆腐などアレンジも自在
山形を含む東北では、秋になると里芋が産直市場に並び始め、芋煮の季節がやってきます。その里芋を、芋煮以外の形で食卓に取り入れてもらえたらと思い、このレシピをまとめました。
里芋のほんのり甘辛煮は、作ったその日より翌日のほうが味が染み込んで美味しくなります。多めに作って作り置きにしておくと、忙しい平日のお弁当のおかずにもなります。ぜひ、秋冬の定番レシピに加えてみてください。

